【FIRE】最速でリタイアする資産運用論

巷では、経済的自由を得たい、引退して遊びたい、起業したい、といったことを理由に、「FIRE」を志される若い方が多いと聞きます。「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」を略で、「経済的に自立して、早く引退しよう」という意味になります。ただ引退して遊ぶだけだと国の生産力に迷惑をかけてしまいますが、好きでもない仕事・場所・時間帯・人間関係の中で働き続けるのは大変苦労することで、一人一人の働き方に自由が生まれないと国としても生産性を最大限に発揮できないものかと思います。個人としても経済的事情を人質に職場の自由を奪われるのはせめて回避したいですよね。ということで、本日は最速でFIREするための方法論を自分なりに考えてみようと思います。

※以下の記事により生じたいかなる被害に対しても責任は取れませんので、実行に移される場合はくれぐれも、くれぐれも慎重になられるようお願いいたします。

目次

FIRE実現のために考えること

さて、FIREではリタイア後は生活費は資産からの不労所得で賄うことになります。不労所得以外に収入を得てはいけないというわけではなく、自営業や企業を行ってもよいし、気が向いたら雇われの身として活動してもよいわけです。いずれにせよ、生活費を完全に賄うほどの不労所得があれば自分の人生に選択肢が生まれるわけです。

さて、生活費を完全に不労所得で賄うための条件を求めるために、以下の3つの制約を考えることになります。

  • リタイア後の生活費
  • 投資に回せる1か月あたりの金額
  • 資産の運用利回り

リタイア後の生活費

リタイア後の生活をどのように送るかで生活費のケースは変わってきます。ケースバイケースということですね。しかし、公の統計情報によりますと、一般的に老後の生活費に必要な支出は以下表のとおりとなります。

65歳以上の無職世帯の統計上の生活費単身世帯  二人世帯  
食料費 35,477 66,458
教養・娯楽費 16,105 24,804
住居費 13,110 13,625
光熱・水道費 12,973 19,983
交通・通信費 12,672 28,328
保健医療費 8,469 15,759
家具・家事用品等 5,573 10,100
被服及び履物費 3,608 6,065
教育費 50 20
その他(交際費含む) 30,586 54,806
生活費合計138,623239,947
公益財団法人生命保険文化センターより

注意点としては

  • 住居費の支出が非常に小さい。これは、政府による持ち屋奨励政策により現在引退されている方々のほとんどが家を所有しており、現役時代に住宅ローンの返済を終えているため、新たな住宅ローンの返済や家賃等に支出する必要がないため。
  • 保健医療費は70、80代になると跳ね上がる。
  • 食費は一日当たり1250円ほど。ライフスタイルが自炊か外食かで大きく分かれる。

若い世代で引退される場合は、上記に加え、当面の住居費を生活費試算に組み込むべきでしょう。

個人的には、若い世代なら単身の場合は250000円二人の場合は400000円と見ておいたほうがよいかなと考えていますがいかがでしょうか。

投資に回せる1か月あたりの金額

個々の事情によりケースバイケースとなります。後続の試算の項から、「○年以内にFIREしたい」という目標から逆算することになると思います。

資産の運用利回り

FIREという概念はあらゆる国で昔からあると思いますが、言葉はアメリカで生まれました。資産の運用利回りの推定は難しいですが、「株式投資の未来」で有名なシーゲル氏によると、株式のインフレ調整後の実質リターンは6~7%とされています。伝統的なポートフォリオの資産配分は株式60:40のため、この配分に倣って資産運用を行っていく場合の実質利回りは4~5%程度になります。

FIREでは資産の実質運用利回りを4%と設定していることが多いです。リタイア後はいたずらにリスクをとることはできないため、必要最低限のリターンを確保できる保守的なポートフォリオを運用していくのが適切だと思いますが、FIREに至るまでの途中経過ではもっとリスクをとっても良いはずです。

もっとリスクをとった資産運用を行えば、実質運用利回りを引き上げることが可能です。最も単純なポートフォリオは株式100%でしょう。実質運用利回り6~7%を見込めます。

株式にレバレッジをかければ、その分実質利回りが上昇します。株式200%なら実質利回り12~14%を見込めます。

株式200%だとリスクが大きすぎるため、バランスポートフォリオにレバレッジをかけた商品を検討することができます。日本の投信だと、アメリカの株式90%:債券270%相当からなるポートフォリオを運用する「usa360」や、リスク資産を125%に抑えたうえで資産全体に5.5倍のレバレッジがかかったポートフォリオを運用する「グローバル5.5倍バランスファンド」があります。

ポートフォリオ構成とレバレッジ倍率次第で資産の運用利回りはいかように変更することが可能なのです。

仕方なくドルコスト平均法

FIREを目指す段階では持たざる状態からのスタートになるので、買い付けは必然的にドルコスト平均法になります。本質的にはただの時間分散のため、すでに資金を持っている場合は投資開始時に全て買い付けするほうがリターンが上がるので合理的ですが、ここではドルコスト平均法による積立を考えていきます。ドルコスト平均法のメリットは、対象資産が安くても高くても常に一定額を購入していくことで、全体としては安く買えることです。価格変動が激しい資産のほうが相性がよいため、株式200%や300%の投信・ETFへの積立としてピッタリです。

最速何年でFIREできるか

それではFIREに最低限必要な資産の額と達成までの年月について、試算を始めていきます。

収支の均衡

リタイア後の一生を不労所得で暮らしていくためには、リタイア時の資産額を食ってしまわないように十分大きな不労所得を生み出せる資産額が必要です。

必ず以下を満たす必要があります。

年間生活費<資産額×資産運用利回り

下のグラフの例は、リタイア後の生活費を十分に賄える不労所得を生み出す資産額でリタイアしたため、資産の取り崩しをせずに生活していける例です。

下のグラフの例は、リタイア後の生活費を賄うだけの不労所得を生み出せない資産額でリタイアしてしまったため、資産の取り崩しを行い尽きてしまうパターンです。

積立対象の金融商品について

(工事中)

毎月拠出額X万円で資産運用利回りY%でFIRE達成後は利回り4%のポートフォリオに切り替えるケース

試算の仕方ですが、資産の額のほうは年間の生活費に対し、資産の運用利回りを使って求めていきます。例えば、生活費が月250000円のケースで資産の運用利回り4%を使って積立投資していく場合、年間生活費3,000,000円÷4%=75,000,000円となります。

達成するまでの年月と1か月毎の積立額は、お互いにトレードオフの関係にあり、1か月毎の積立額が多ければFIRE達成までの時期も早くなります。興味がある方は下記サイトにシミュレーターがあるので使用してみてください。(エクセルやPython等を使って計算いただいても構いません)

資産運用かんたんシミュレーション|資産形成について|アセットマネジメントOne (am-one.co.jp)

ひとまず、7,500万円を目標にシミュレーションした結果は下記表のとおりとなりました。

表のとおりですが、運用利回り15~18%帯なら、目標資産額7,500万は20年前後で到達できることがわかります。ただし、特に株式300%の値動きは非常に激しいので現実的ではないですね。FIREまでの特急コースと割り切って運用することになると思います。

(運用利回り15%ってすさまじい数値なのですが、それでも20年前後かかるのですね)

毎月拠出額X万円で資産運用利回りY%でFIRE達成後も同じポートフォリオで運用を続けていくケース

「リタイア後も同一のポートフォリオを使って運用を行っていきます。保守的なポートフォリオには切り替えません。」そんなケースです。たとえば、1か月あたり生活費25万を賄うために資産運用で年間300万の利益を得るケースでは、利回り4%なら資産7500万が必要ですが、利回り15%なら資産2000万あれば可能です。シミュレーションを行った結果を以下表に掲載します。

シミュレーション結果上は、運用利回り15%のケースで最短11年でアーリーリタイアが可能になることがわかりました。

(株式3倍のケースは、リタイア後の収入源としてあてにするのは大変リスクがあり現実的ではないため、シミュレーションから外させていただいています。株式2倍も相当危険です。)

(おまけ)生活水準はどうでもいいので一刻でも早くリタイアされたい方へ

マイホームを所有しているケースは、家自体が資産のため資産額に計上することにします。アーリーリタイアの分野には恐縮ながら勉強不足であまり詳しくないため、さらっと書いて参ります。

資産額1500万円(月額5万円相当の収入)でリタイアされるケース

人生に何らかの縛りプレイをされているのではないかと思えるぐらい危険な水準でのアーリーリタイアです。資産のリターンを4%と仮定すると不労所得は年間60万(一月当たり5万!)となるため、生活水準は相当落とさないといけません。

田舎であれば、住宅費はかなり落とせます。畑で野菜等を栽培すればある程度自給自足できるため、食費もかなり落とせます。しかし、突発的な出費が一度でも起こればアウトです。家が壊れたり、大きな病気にかかってしまうケースですね。

(運用利回り15%の商品で運用を行うのであれば、年間5万円相当の収入は資産額400万あれば達成できます。オススメはしません。)

資産額3000万円(月額10万円相当の収入)でリタイアされるケース

資産のリターンを4%と仮定すると不労所得は年間120万(一月当たり10万)となるため、生活水準をだいぶ落とすことで実現可能性が視野に入ってきます。

親の実家に転がり込む、「○○荘」的なアパートの部屋を借りる、などでも住居費はかなり落とせます。もちろん田舎で畑を耕す毎日でもよいのですが、移動がかなり不便で車前提の生活となってしまいますので、歩けば何とか駅にたどり着くギリギリ郊外のエリアで生活されるのがよいと思います。

(運用利回り15%の商品で運用を行うのであれば、月10万円相当の収入は資産額800万あれば達成できます。オススメはしません。)

まとめ

  • ムリのないFIREは資産額7,500万、保守的な運用(年4%)で20年前後で達成できる。
  • リスクが高いFIREは資産額7,500万、超積極運用(年15%)で10年前後で達成できる。
  • 十分に余裕を持った資産額でFIREしよう。
拡散すべき内容に達していたらシェアをお願いいたします。

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