【対決】コールオプション VS LEAPSコールオプション


コールオプションとLEAPSコールオプションにパフォーマンスの差はあるのでしょうか。本記事で検証していきます。

目次

LEPASコールオプションのパフォーマンス検証

コールオプションとLEAPSコールオプションのパフォーマンス検証は下記記事をご参照ください。
この記事で取得した時系列データを使用してコールオプションとLEPASコールオプションのパフォーマンスの比較を行います。

S&P500 の コール vs LEAPSコール

今回比較する指標は下記の3つです。

  1. S&P500
  2. S&P500のコールオプション D=100(S&P5001枚相当)
  3. S&P500のLEPASコールオプション D=100(S&P5001枚相当)

コールオプションのデルタは権利行使価格がATMのときD=50となるため、2枚買うイメージです。

残念なことに、S&P500のLEPASコールオプションのパフォーマンスを取得できた期間が2019年1月~2021年8月しかなかったため、その期間での比較になりますが、グラフは以下の通りとなりました。

この期間ではリターン、シャープレシオともにコールオプションが圧勝しています。
2020年3月にコロナショックがあり株価が暴落しましたが、4月以降のコロナバブルで1か月間でみても大きな株価上昇が何か月も連続で続き、短期のコールオプションにとって有利な相場環境でした。4月以降はかなり高いIVでコールオプションを買わないといけませんでしたがそのハンデを余りある上昇で乗り越えています。

一方、LEAPSコールオプションはぱっとしない結果に終わりました。

考察

VIXの期間構造はコンタンゴ

2019年1月~2021年8月と短い期間でしたが、コールオプションとLEAPSコールオプションとでパフォーマンスに大きな差がついてしまいました。
一説にはVIXの期間構造がコンタンゴであることに起因するでしょう。
オプションの満期が長くなるにつれ、IVの値が右肩上がりで大きくなるような期間構造をコンタンゴといいます。

VIXの期間構造がコンタンゴのとき、コールオプションよりLEAPSコールオプションのほうが高いIVに該当するプレミアムで購入することになるので、株式市場が完全な正規分布であればLEAPSコールオプションを買うのは賢い選択肢ではありません。しかし、相場はトレンド性(価格変動に自己相関性が認められること、つまり過去ある一定期間上昇すれば、未来もある一定期間は上昇する可能性が高い)を有しているとの見方から、また、期先のほうが未知のイベントが発生する可能性が期間が長い分高いことから、期先のオプションのほうが高いIVを持つのは一般的です。そして、株価の実際のボラティリティ(上のグラフでいうと縦軸の切片)<期近のボラティリティとなりえます。

VIXの期間構造は暴落時はバックワーデーション

しかし、コロナショックのように大きな暴落が起こると、更なる暴落または大反発のいずれかが起こる可能性が高く、いずれの場合も大きな変動になるため、大変動を織り込んでIVが高騰します。このとき、ボラティリティの期間構造は期近が大きく期先が小さい右肩下がりのものになります。この形状をバックワーデーションといいます。残存期間が短くなればなるほどIVは高くなるため、 株価の実際のボラティリティ(上のグラフでいうと縦軸の切片)>期近のボラティリティとなりえます。

バックテストの期間の大半でコールオプションIV<LEASPコールオプションIV(コンタンゴ)だった

コロナショックが生じた2020年3月から2020年5月の3か月間を除き、バックテストの期間の大半はコンタンゴでした。期近のIVのほうが期先IVよりも小さいので、株式が完全に正規分布であれば、期近オプションを購入したほうがリターンはよくなります。
結果を見ると、IVの小さいコールオプションが、IVの高いLEAPSコールオプションよりもバックテストでいい結果を残せたことから、当該期間の株式市場はオプション市場が考えているよりも正規分布に近いということがいえそうです。

大切なのは過去の実績ではなく未来のリターン

もっとも、当該期間ではコールオプションは優秀な成果を出しましたが、過去20年の長い期間をとったバックテストではコールオプションも原資産のS&P500に負けています。結局は、相場に対してオプションのIVが高いか低いかに依存するということでしょう。

しかし、現在のオプションのIVが未来の相場のボラティリティに対して高いか安いかを判定するのは難しいはずです。したがって、オプションの買いと売りを混ぜてスプレッド系ポジションにしてオプション自体が持つIVの影響を差し引きゼロにしてあげると、IV高低リスクが軽減されパフォーマンスが安定しやすくなります。

この話は別記事で取り上げていく予定です。

まとめ

コールオプションのパフォーマンスが思いのほかよく何か見落としがあるのではないかと心配しているため、「かもしれない」でまとめておきます。

  • コールオプション vs LEAPSコールオプションのパフォーマンスはコールオプションが勝つかもしれない。
  • IVの期間構造をみて安いオプションを購入するとパフォーマンスが上がるかもしれない。
拡散すべき内容に達していたらシェアをお願いいたします。

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