原資産の急落とリバウンドに対するオプションの価格変動性について

オプションは、(2021年現在の値付けでは)急落時の変動がオプションに時間価値に与える影響はコールでは緩和されプットでは増幅される。具体的には、原資産に500円の急落が生じた場合、コールオプションはそれをあたかも250円だけ下落したかのように受け止め、プットオプションは750円ほど下落したかのように受け止める。リバウンドする場合も同様で、原資産に500円の戻りが生じた場合、コールオプションはそれを250円の上昇として受け止め、プットはそれを750円の上昇として受け止める。残存日数やストライクにより若干の違いはあれど大した違いはない。

その数値は(おそらくオプション・ディーラーやフロア・トレーダーが決定しているものだと思っているが)、IV(インプライド・ボラティリティー)というものさしで説明すると、「相場が下落すればIVが上昇、リバウンドすれば下落する」となる。相場が何らかのきっかけで下落したとき、たまに壊滅的に下がるが短期的に元に戻るケースのほうが多いので、損失限定のコールオプションでリバウンドを取りに行く動きが出てくる。しかし、それはコールオプションに価格として織り込まれ、結局は先物とコールオプションのどちらを買えば少ないリスクで利益が出るか迷う程度にはコールオプション価格は上昇していると思われる(私は市場の効率性を信じている)。そしてそれは、「原資産が500円下落したとき、コールオプションは原資産が250円だけ下落したかのように反応する」「コール側のIVが特に上昇する」といったかたちで観察される。(プット側のオプションも750円下落したかのように反応するが、先物でデルタをプラスにすればコールオプションになる。コールオプションとしてみれば、250円だけ下落したかのように反応している。)

一般的には相場の上昇・下落でIVはそれぞれ下落、上昇するが、相場状況によってはその関係が崩れることもある。リーマンショックやコロナショックでは株式市場は大暴落し幾分かの大幅なリバウンドを見せたが、リバウンド時にIVが下落するケースと上昇するケースの2パターンがあった。明日のIVの高低は明日の投資家が決めることであり事前には予測できないが、もっともっと大きな上昇が見込まれる場合はコール側IVが買われることがある。相場上昇でコール側IVが上昇するケースは、体感では1割以下といったところ。2013年頃の日銀砲や2020年9月のコロナワクチンショックでコール側IVが上昇したケースがあった。株式指数は来期EPS(今期EPSかもしれないが)と大きな相関があり、機関投資家の調査により近い将来のEPSが大きく上昇する可能性が高いと判断されたときは株式市場に資金を回す(テーパリングや金融引き締めのさなかで株式を買うことに意義を見出した場合、限られたお金を株式に回すため、債券を換金売りする。いわゆる、長期金利上昇と株高)。一般投資家が来期EPSを把握する頃には株式市場はだいぶ上昇しているが、株式市場は一気に上がるので、コール側IVが高くなる可能性があり、コールバックスプレッドで挑戦したい向きにはよいきっかけとなりうる。また、相場が一時的に弱気局面のときに機関投資家がこれ以上下がらないと判断された場合、プットオプションの価格が急落することがある。上級者になるとプット売り+先物売りでデルタをヘッジしながら相場の下げとIVの下げの両方を狙うこともある。

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