為替ヘッジをつけるとヘッジした分だけのコストがかかる。理論的にはヘッジ先の短期金利-自国通貨の短期金利の分だけコストがかかる。一方で、為替ヘッジをつけると値動きが安定する。為替ヘッジの有無は、値動きの安定をとるか、ヘッジコストをとるかの選択である。果たして、為替ヘッジをつけるのとつけないのとどちらが得なのか。レバレッジをかけた債券投資を行うとき、どちらが適切な選択肢なのか、決定しておく必要がある。
そこで今回はアメリカや新興国の債券を使い、為替ヘッジ有と無のどちらがいいか分析する。
アメリカ以外の世界債券(為替ヘッジ有、無)

アメリカ国内の投資家向けに、アメリカ以外の世界の債券に分散投資した場合の指数が公表されている。為替ヘッジ有と無の2つのパターンがある。Stdev(標準偏差)に注目すると、為替ヘッジ有のGlobal Bond(USD Hedged)が3.55%に対し、為替ヘッジ無のGlobal Bond(Unhedged)が7.06%と2倍近く高いことがわかる。Sharpe Ratioも為替ヘッジ有のGlobal Bond(USD Hedged)が1.02と、相方の2倍近く高い。
為替リスクは、値動きの安定かヘッジコストの回避かでヘッジを有無を決めるものだが、アメリカ除く世界債券については為替ヘッジを行うほうが適切なようだ。
新興国債券(為替ヘッジ有、無)

新興国債券は、主に新興国政府が発行する債券のことを指す。新興国政府は、外国から資金を集めるために、自国通貨建だけではなくドル建でも債券を発行する。Stdev(標準偏差)に着目すると、為替ヘッジ有に相当する iShares JP Morgan EM Local Ccy Bd ETFが8.66%で、 為替ヘッジ無に相当する iShares JP Morgan EM Local Ccy Bd ETFの10.81%より低い。
結論
為替の動きを予想できる人を除いては、債券投資は為替ヘッジ付で行うことがよいだろう。
債券レバレッジ運用を行う場合、為替の動きの予想の可否に関わらず、為替ヘッジ付債券を選択したほうがよさそうだ。
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