LEAPSコールオプションというものがありまして、普通のコールオプションと比べると残存期間が長いオプションのことです。よく取引されているオプションは残存期間1か月が一番多くてその次が2か月で、それ以降は流動性がぐっと下がってしまうのですが、LEAPSは9か月以上の長い残存期間を持つオプションのことを言います。(Long-Term Anticipation Securitiesを略してLEAPSです。)LEPASコールのパフォーマンスは具体的にどのようなものかのか、本記事で検証してみたいと思います。
LEAPSコールオプションを買い続ける戦略の目論見
通常取引されているコールオプションは残存期間1か月であるため、相場に短期間で大きな変動が起こることを求めなければなりません。LEAPSコールオプションは残存期間が長いため、ゆっくり上昇するタイプの相場であっても利益で終わる可能性があります。相場がゆっくり上昇すると見込むとき、LEAPSコールオプションのほうを選択するのがセオリーとなるでしょう。
前置きはこれぐらいにして、パフォーマンス検証の話に入ります。
LEPASコールオプションのパフォーマンス検証
パフォーマンスの調べ方
LEAPSコールオプションの具体的なパフォーマンスについて説明されている記事は少ないですが、アメリカの取引所に上場しているブラックスワンETF(ティッカーコード:SWAN)がLEAPSコールと米国長期債券からなるポートフォリオ運用を行っています。ブラックスワンETFのパフォーマンスから米国長期債券のパフォーマンスを引けば、LEAPSコールのパフォーマンスを算出できます。
ブラックスワンETFについては次の記事で解説しています。
ブラックスワンETFは残念ながら2019年1月運用開始のため、長期のパフォーマンスを見ることができませんが、2020年3月のコロナショックとそれ以降のコロナバブルを含む期間のため、検証としては悪くないと思います。
LEAPSコールオプションの時系列データを求めて期待リターンやシャープレシオを推測し、それらを株式指数と比較してみましょう。
LEPASコールのパフォーマンス
さて、ブラックスワンETFのポートフォリオは以下の構成となっています。
・S&P500:70%相当のLEAPSコールオプション(デルタ値の合計が0.70)
・米国10年債:90%
今回はLEAPSコールのパフォーマンスをS&P500と比較したいので、S&P100%相当のLEPASコールの時系列データを取得します。ATMオプションを2つ購入するイメージです。
①ブラックスワンETFと米国10年債の差からLEAPSコールの時系列データを算出します。
➁LEAPSコールの時系列データを使い、リターン・リスク・シャープレシオを算出し、S&P500と比較してみます。

S&P500の100%に相当するLEAPSコールオプション(ATMのオプションを2つ分購入に該当)を使ったバックテストですが、一番大切なパフォーマンス指標であるシャープレシオはS&P500に負けています、一方、最大損失はLEAPSオプションのほうが抑制できています。LEAPSコールオプションのS&P500に対する相関性は0.95とほぼ1.00に等しいです。
SWANの最大損失が-5.1%とかなり小さいですが、これは株式70%をLEPASで代用しているためです。もし株式70%での運用を行えば、最大損失は-10.3%と膨らんでしまったところでした。
LEAPSコールオプションデータ算出元のSWANは参考のためグラフに一緒に掲載しています。SWANは株式と債券からなるバランスポートフォリオに該当し、株式のみのS&P500またはLEAPSコールとは性質が異なるので今回は比較はしません。
考察
コールオプションを利用した株式投資は、株式投資そのものと比較しシャープレシオが落ちてしまうようです。これは、コールオプションが満期日時点で権利行使価格によって紙屑か否かといった極端な値をとりうることに起因すると思われます。極端な値をとるようになるのに期待リターンが株式と同じなのであれば、リスクが大きくなる分だけシャープレシオが悪化するということです。
しかし、コールオプションには絶対に損失限定のポジションで、1日で10%を超えるような大きな下げが発生しても周りの投資家に比べダメージを受けにくく資産のリカバリが容易になります。
単純にコールオプションを買い続ける投資家にはシャープレシオと最大損失抑制のどちらのメリットをとるかについて天秤にかけて考えることが求められているということなのかな、と。
まとめ
- LEAPSコールオプションのリターンは株式とほぼ同じ
- LEAPSコールオプションのシャープレシオは株式に比べると小さい
- LEAPSコールオプションの最大損失は株式に比べると小さい
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